自由落下の加速度で今を生きる 俺たちに明日はない
ボニーとクライド!
「出会ってしまった危険な2人」の代名詞でもある彼らは何者であり、どう生きてどう死んだのか?
気になったので見てみました。映画!俺たちに明日はない!
あらすじ!
たまたま出会ったボニーとクライドはお互いにピンとくるものがあって強盗で生計を立てながらふらふらと生きていくことにしたのである!
あらすじ終わり!
この映画のラストは火を見るよりも明らかってやつでありまして、強盗で生計を立てようなんて奴らが渡っていける世なんてないのでありまして、結局のところ警官隊に打たれて死ぬのであります。そこには奇跡も魔法も、返すどんでんもございません。
そんなのはWikipediaにも書いてあるし、タイトルだってそういってる。「俺たちに明日はない」
普通に考えてバカとクズが他人に迷惑かけて挙句に死んだっていうだけのことなんだけど、これがどういうわけか凄く素敵だから困る。
そんな生き方になんか美学のようなものを感じるから 本当に困る。
人道に反した生き方を貫き通したことによって、死してなお人々を魅了してやまない異人っていうのは確かに存在して、サドとかバロウズとかジュネとかはそんな感じなんじゃなかろうか。(バロウズとジュネはまだ読んだことないけど)
そのフォルダにボニーとクライドを加えようかと一瞬思ったけど こいつらはたぶんそんなんじゃないな。たぶんそんなに複雑な奴らじゃない。
哲学としては、普通のクソチンピラが「Love and Piece」とか言い出すようなレベルのものしか持ち合わせてなさそうだし、やってることは普通にスタイリッシュでサドとかみたいに変態じゃないし(クライドはゲイだけど)、そんな感じの頭に発泡スチロールでも詰まってそうな奴らに美学を感じるなんて私の脳みそにも蜘蛛の巣はってんじゃないかとちょっと心配になったんです。
で、ちょっと考えたんですけど、この2人の美しさってゆうのは、「もはや誰も止めるは不可能」なところではなかろうかと、思ったのです。
えー、「銀行強盗をしよう」とたくらむ人を思いとどまらせるためにどんな言葉をかけましょう。
「うまくいく訳ないって。」
「失敗したら警察に捕まるか、悪けりゃ撃ち殺されるよ。」
「家族が悲しむよ。」
とかそんな感じでしょうか。
では、
「ダメで元々で、警察に捕まるのも撃ち殺されるのも、家族が悲しむことさえも、覚悟の上で銀行強盗をしたい!」とたくらむ人は、もう止めようがないんですね。
なんて格好いいんだろう。
パラシュートなしで挑むスカイダイビングのように、自由落下の加速度で地面に向かって急降下するボニーとクライド。つなぎとめるものはもはや何もなく、ただパートナーの手を握り「もうあと何秒で地面かしら」なんてつぶやきながら2人は空中遊泳に興じるのであります。そんな楽しい時間もつかの間、思ったよりも早く地面に到達した2人は派手に飛び散って、その屍を遠くから見たら綺麗な赤色の一輪の花に見えるのかもしれません。
何が言いたいのかというと、あいつらはすぐ死ぬ運命にあったけど誰よりも自由で本当に幸福だったのではなかろうかと思ったのです。自由!憧れ!
パラシュートをしてスカイダイビングをできず、紐をつけてさえバンジージャンプもできず、なんなら高いところへ登ろうともせず、ひたすらに地面にへばりついて野垂れ生きている私は、空から降ってくるボニーとクライドを、空を飛んで去っていくヒーローと勘違いしたのかもしれません。