鉛甘味料うるたこんべ

変なもの愛されないものを主とした本、映画、工作、その他の記録

罪なき人を痛めつけよう 魔女の秘密展

先日こういう記事を書いたんですけど。

 

urutakonbe.hatenadiary.jp

 この時作ったブックカバーって一応、当初の予定として「魔導書」っぽいものを目指したものだったんですね。で、ですね。魔導書ってなんぞや?ってことを考えるんですけど、なんにもでないんですよねこれが。もはや「魔導書」を目指してないと言っても過言ではないというか目指してないという惨状でありましたので、これはアカンと思いまして、「魔術」についての造詣を深める必要を感じたのです。

 

というわけで

名古屋市博物館「魔女の秘密展」

に!行ってきましたー!


魔女の秘密展 開催告知「善か悪か」篇 - YouTube

「信じる」「妄信する」「裁く」「想う」の4つをキーワードとして、魔女とは誰であったのか?という疑問を歴史の変遷とともに紐解きます。

 

超常なる技術に通じ不思議を可能にする魔女を、理を解さぬ無学の民は神の領域を侵す不届きものと恐れながらもその知恵を拠り所とし、両者の間には平穏とは言わぬまでもある均衡の保たれた関係が形成されていました。しかし均衡は壊れるのです。紛争、疫病、飢饉、大禍に見舞われた民たちは全ての責任を魔女に押し付けたのです。説明のつかぬ災いは魔女の仕業、あるいは魔女の不徳に対する裁きとみなされ、クラーマー著「魔女に与える鉄槌」はベストセラーになりました。「さぁ、狩りに出掛けましょう!」キリスト教過激派の熱心な啓蒙活動により「忌むべき魔女は殺さねばならぬ」との考えを植え付けられた民は魔女狩り、異端審問に勤しむのでした。言いがかり以外の何物でもない嫌疑をかけられ、拷問された挙句焼かれるという、そんな酷い最期を迎えた人の数は一説には数百万人にも及ぶのだとか。更に時は経ち、化学の発展とともにそれまで魔術とされてきた超常は日常へと姿を変え、魔女はほとんどいなくなりました。しかし、かつて存在したとされる「魔女」なる存在は創作家たちの想像力を掻き立て、物語や芸術、民話伝承として現在まで語り継がれ、人々に親しまれているのです。

 

みたいな。

思い違いもあるかもしれないし、非常に大雑把なまとめだけれど、そういうことだと理解しました。

 

一貫して、

「特に悪いことをしたわけでもないのだけれど悪魔とファックするやばい奴らだと決めつけられて⇒虐げられることになったかわいそうな魔女たち」

のストーリーを当時の歴史的な事件や、宗教、思想の観点から分かりやすく伝えてくれる内容となっていたと思います。

最初のブロック意外は基本的に「無学の民から見た魔女」や「キリスト教過激派から見た魔女」を描いたあれこれが展示されていた(と思う)ので「魔女の秘密」展ではなくね?みたいなこともチラッと思ったけど楽しかったからいいです。

 

「楽しかった」とか言ったそばからですけどあんまり魔女の歴史は楽しいものではなかったみたいですね。魔女狩りゾーンは正直かなりエグイです。「スペインの長靴」や「棘のある椅子」をはじめとした数々の拷問器具が展示してあり横に解説が添えてありました。ああいうのってネットで画像検索するだけでもヤバさは伝わるんですけど、実物を目の前にすると想像力の上を行くヤバさを感じられてヤバいですよね。たぶん使ってみたらもっとヤバい。ある拷問器具の説明「まず歯が折れ、次に顎が砕ける」ってなんだよ…。

あの無慈悲な金属たちは一見の価値ありだと思います!

「梨」とか「車輪」とかがトラウマワードになりますよ!

 

「異端審問」の体験コーナーは少しチャチではあったけど、あの論調で拷問送りにされるっていうのはあまりに理不尽で、他称魔女の皆さまの無念は計り知れないものだったろうなぁと身を焦がされる思いでした。火あぶりだけに…。

 

と、ここまで見てきてからの「近現代のみんなに親しまれている魔女」ゾーンの「だからなんだよ」感!ですよ!

いやいや。すげぇ素敵な絵とか像とかばっかりなんだけどさぁ。この素敵な魔女たちが「あの拷問」を受けて死んでいった人たちだと思うとどうにもやりきれねぇのですよ。魔女を素敵に描いたからって「いわれなき罪によって手錠をかけられ拷問された挙句に焼かれて灰になった隣の家の奥さん」は報われねぇよ!と。どういう神経で描いてるんだろう?「デビルマン」とかの方が死んでいった魔女に対する誠実さが感じられるじゃねぇか。どうなんだろう「魔女狩り」から100年もたった後の作品たちだったんだろうか。

(歴史とか関係なく作品単体で見るとやはり素敵なんですけどね。)

 

以上!総じて素敵な企画展でございました!

人類の愚行の歴史、集団ヒステリー、人道的でない人の痛めつけ方などに興味のある方は是非!足を運んでみるといいと思います!興味がなくても「戦争を忘れてはならない式の論理」で足を運んでみるのがいいと思います!

 

決して素敵じゃない魔女たちに!会いに行きましょう!