読書家の狂気を表現する 革のブックカバー製作
読書家諸氏、お盆はどうお過ごしでしょうか。
帰省や旅行などで長い時間を移動に費やす方も多いことでしょう。
そんな時に旅のお供として重宝するのが本であることでしょう。読書家の皆さまならば長時間の移動はむしろ積読の消化に充てられる大変貴重な時間として認識している方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そんな移動中の読書の際に問題となるのが表紙でございます。
読書家の皆さまから見れば表紙がどんなものであろうと気にすることはないのでしょうが、人の世は残酷なもので電車で「ライトノベル」を読んでいる方を「犯罪者予備軍」とみなし軽蔑の眼差しを向ける「健全な紳士・淑女」も少なくありません。この御時世、電車で「ドグラマグラ」だとか「O嬢の物語」だとか「我が闘争」だとか「アナモルフォシスの冥獣」なんかを読もうものならば即刻通報されてもおかしくはないのです。「1984年」のような社会はもうすぐそこまで来ているのです。
そんな社会に生まれながら、移動中に「不健全な読書」を楽しむための方法があります。
そう、ブックカバーをすればいいのです。
ただちょっと紙を折って被せるだけでこと足りるのでございます。ちょっと拘りたい方も本屋に行けば上質な紙製のもの、布製のもの、革製のもの、それぞれちゃんと用意してあり、満足のいくものが見つかるでしょう。
では、もっと拘りたい方は?
そもそも、読書家は勘違いされている部分があると思います。本屋で売られているブックカバーは「おとなしく」「落ち着いた」「知的な」イメージのものが多く見受けられますが、そうではないのです。読書家とは「脳髄からはみ出ない範囲でいかがわしい夢想をし」「行動を起こさない程度に過激で」「現実問題とは違う次元の迷宮を彷徨っている」ものなのではないでしょうか。象牙の塔の頂に立ち夜空に高笑いを響かせるような「読書家の狂気」を表現したブックカバーを探し求め、心当たりを見て回ったものですが、これが見つからない。
かくなる上は自分で製作するしか方法がないのでございます。
前置きが長くなりました!上記のはブックカバーの製作理由とか私の主義主張というよりも、今回のコンセプトだと思っていただければ幸いです。中二病で思い込み、思い上がりが激しそうな感じ。
そういうわけで作ったのがこちらになります!
どうでしょう。魔導書チックなのを目指したものの素材の選定が適当だったので(十字の紐の質感が優しすぎる、縁取りが紅白でおめでたい)魔導書的にはちょっとうまくいってない感じです。どちらかというと冒険家チックかなぁ。こんなの持ってるやつみたことないとはいえ狂気もちょっと足りてない気がします。あとはそうですね、中学生がやりがちな「無計画な詰め込み」の過ちを犯してしまっているきらいはありますが、機構と形状に関しては結構気に入ってます。初めて作ったやつとしては及第点にしていいんじゃないでしょうか。ダメ?
上の写真左側の金具で、紐の長さを調節することで右側縦の紐が繋がっている耳の部分が移動できるので、いろんな厚さの本に対応できるようにしました。
あと吊るしたりできます。素敵!
中はこんな感じ。(さしあたりラブクラフトさんを入れてあります。)長い紐が読むときに邪魔になりそうです。
作り方を簡単に書いておきましょう。
材料、必要量、購入場所
・牛皮 文庫本カバーサイズ 東急ハンズ
・革紐 6m程度 100均
・布紐 1m程度 100均
・鋲 15個 手芸屋さん
・輪っか 1個 手芸屋さん
・角かん 2個 手芸屋さん
※東急ハンズが便利だけどたぶん拘らなければ牛皮以外は全部100均でそろうかも。
※鋲を打つのと、革に紐を通す穴をあけるのに専用の工具が必要。
1.本のサイズ+カバーの折り代+耳 の大きさに革を切ります。
(耳は折り代部分に30㎜くらいの高さでつける)
2.縁をかがると同時に下写真右側の表紙を滑り込ませる部分を縫い付ける。
(自分のは右側と耳の部分だけシングルスナッチでかがりました。左側はかさばって
はいけない部分なので単純に巻いただけ)
3.各紐を適当な長さに切り、鋲で取り付ける。
(これは実際に本を入れてみながらゆっくり調整するのがいいと思います。取り返し
のつかない作業も多いので。鋲の配置なんかにセンスが出ると思います。自分のは…
うん)
非常にざっくり書くとこれだけなんですが、いろんな調整があるので初めて作ろうと思うと結構時間がかかると思います。
鋲なんかは種類もいろいろあるし、かがり方もいろいろあるみたいだし、革は焼き印で文字とか絵が打てたりするみたいだから、まだまだいろいろできそうな感じです。(文字とか書きたい場合はもっと明るい色の革を選んだ方がいいのかしら。)
不健全な読書のお供に不健全なブックカバーはいかがか?