ぼくらのひかりクラブ はとんでもない悲劇だった
ライチ☆光クラブを読んで、外伝のほうも気になったので。読んだ。
この話は、作者の古屋兎丸さんが「ライチ~」本編の方でどうしても気になるところがあって、妄想を膨らませた結果、それを形にしたくなった。した。
っていう経緯で描かれた漫画らしいので、なんなら同人みたいなもんっちゃもんなんですけど、そんなことはどうでもいい!!すげぇ漫画でした。
これは本編を読んだ後で読むべき!!
ぼくらのひかりクラブは上下巻に分かれててどっちもタミヤ視点で描かれる。
上巻は小学生編、いかにして光クラブのメンバーが集まったか、下巻は中学生編、本編の序盤タミヤは何を思い、裏ではどんなことが行われていたか。
って感じか。
本編で端折られた部分を明らかにしていくような内容だから、これを踏まえた後の読みと、踏まえる前の読みがだいぶ変わってしまうので、やはり先に本編を読むべき。「ぼくらの~」を読んでしまうと読む前には戻れないから。
その順序で読めば、本編を2回違う漫画のように読むことができるはずだ。
で、「ぼくらのひかりクラブ」を読んだ感想としては、
古屋兎丸、なんてひどい野郎なんだ!!
です!ちなみに褒めてます!
もうね、光クラブのメンバーみんな(一部の人外を除いて)がかわいくてかわいくて。タミヤはやっぱり友達を裏切らない&大切にするめっちゃいいやつだし、カネダとかダフは陰湿ではあるけれどなんというか、ちゃんと子供してるって感じ。デンタクは人外だけど目をキラキラさせて夢を語る感じとかいいよね。ニコ、照れ笑いがいいね。雷蔵、バカっぽくていいね。ヤコブ、デンタクとのからみで真顔になってるのに爆笑しました。ゼラとジャイボは最初から人外でした。好きだけど。
そんなかんじで(特に上巻は)基本的には子供が無邪気に、仲良く遊んでるようなシーンが多い漫画なんです。
だからこそ!!この上なく残酷な漫画なんです!
こんなかわいらしい子供たちが!どんなふうに死んでいくのかを!既に知っているから!
なんというかですね。
本編の方だけ読んだ場合、光クラブのメンバーの背景があんまり語られなかったり、廃墟の外の描写が少ないので、(キャラ付けから何となく生い立ちが想像できなくはないとはいえ)そこだけで完結した世界というか、どこかファンタジーで、背景のない降って湧いたキャラクターたちのグランギニョルに読めたんです。あいつらはエンターテイメントとして死んでいってくれたんです。これは原作が舞台だから必然的にこうなったのか、エンターテイメントに徹するためこういう構成になったかわからないけどそうなんです。
ぼくらのひかりクラブではキャラクターたちに容赦なく「人生」を吹き込みます。
本編では超然として見えたあいつらも、廃墟から一歩外に出ればただの子供。甘っちょろい友情を振りかざし、お泊り会とかやってんですよ。家に帰れば家族だっていてたわいのない普通の生活を営んでいるんです。
そいつらがあんな死に方をするんです!
前途ある子供の死。残される人々。悲しみの象徴とすらいえるそれらを確信犯的に、しかもこの上なく美しく見せつけてくる作者をひどい野郎と言わずになんといえようか!
彼らの生き様をを知ってしまった瞬間、残酷劇は悲劇に!エンターテイメントはミゼラブルへ!変わってしまうのです!
あぁ無常!少年たちは水の底!いくら憐れみ歌えども!還ることなき亡骸の!流れ流れて行く先を!いったい!いったい誰が知るものか!
はい!
要は超おすすめなので本編から先に読んでほしいなというだけのことです!